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8

「ストレスがたまって…」「疲れて…」男としてそれを絶対言いたくなかったし言う奴を軽蔑していた。しかし…“ヌルいな、オレも…”だった。その後の経過は置いておこう、中沢はとにかくオレを甦らせるために自分をかえりみず動いてくれた。
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by taku-ma3 | 2007-04-29 22:12

7

新しいアプローチを発見し更に人気薄からの仕込を見抜くことに成功していたが配信に対してのプレッシャーは凄まじいものだった。勝って当然、負ければインチキ野郎呼ばわり・・・
言い訳の通用する世界ではないしするつもりも無い。しかし負荷の流しどころのない立場と環境から極度に疲弊していく自分を感じていた。
いつしか真っ赤な血の小便が流れ大便にもおびただしい鮮血が混じるようになっていた。便器全体が血で染まる、そんな日が続いた。土日になると朝からメシがのどを通らず夜になると大量のハードリカーを呷って緊張しきった意識を誤魔化す。
そんな生活をしていれば体が壊れるのは当然のことだ。
案の定その夜、酒場のカウンターで咳き込み少しばかり血を吐き、そのまま地べたに倒れこんだ。
”中沢”という男がオレを救急病院に運び込んだ。

「余計なことを・・・するんじゃねえよ・・・」点滴を受けながら云ったがほとんど人に聞こえるような声ではなかったと思う。
「なんだかしらないが倒れるんならよそでやってくれ、この豚野郎」
・・・冷てえなコイツ、それじゃ礼も云えないじゃないかよ。
「起きたらとことんお返ししてやるからな、それまで待ってろこのおせっかい野郎」
オレの意識がまた遠くなる中、中沢の声を聞いた。
「その口ぶりじゃまだ死にそうにないな、安心したよ」
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by taku-ma3 | 2007-04-24 22:18 | マネーコード

6 

いつ頃からだろうか、オレたちの間には言いようの無いミゾが出来てきていた。
河岸も同じくはしなくなっていたし連絡もまばらになってきていた。
考え方の差も広がっていった。
記号的にオッズからの仕込を見い出そうとするF、能力を加味しての作業をするオレ。
買い目がこないとヒステリックになまでに騎手の落ち度を言うヤツに、あくまで自分の選択ミスを悔やむオレ。結果にも差が生まれてきて当然だった。
「今日は一緒にやらないか」
「新しい彼女とデートなんですよ、こないだのとは切れちゃいまして」
「・・・・」
それっきりヤツと顔を合わせることはなかった。
たまに連絡があると決まって
「いくらか回してください」
だった。オレは黙って訳も聞かず送金してやっていた。
金額が250を越えたあたりで
「どうだい、大丈夫なのか?」
と聞くと
「やってしまいました。昔のスポンサーからの預かり、溶かしきってしまいました・・・」
とっくにそっちとは切れているもんだと思っていたが・・・たしか預かりは1000と聞いていたが・・・
「でどうする」
「むこうはカンカンです。ヤサも知られてるんで跳ぶつもりです」
「わかったよ、40しか回せないが。死ぬなよ・・・」
「・・・すみません」
それっきりヤツからの連絡は現在に到るまで一度も無い。
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by taku-ma3 | 2007-04-24 14:23 | マネーコード

5

次の日からヤツの言ったことすべてを頭に叩き込む作業に専念した。朝も晩も、というか昼夜の感覚が麻痺するような日々であっという間に一週間が過ぎた。
頭にあるのは”世間を・・・”だけだった。生来の負けず嫌いの性格が幸いしたかとりあえずの理解は出来たと思う。

そして土曜日、日曜日、次の週・・・オレたちは紆余曲折こそあれ勝利を積み重ねついにメディアに登場することになった。
「なんか名前が欲しいな、”なぞの二人組の馬券術”じゃ気味が悪い。良いの無いかい」
「・・・そうですね、M、M資金てあったじゃないですか、旧日本軍の隠し財産とかいう。それとオッズの配列という意味のcodeを引っ掛けてM-CODE,ってどうです?エムコード。オッズで財産発掘。ちょっとわかりにくいかな」
「・・・」
「・・・」
「マネー、マネーコード・・・すっきりしますねこの語呂」
ヤツは以前ライターをやっていたらしい。
「それで行こう、マネーコード、いいじゃないか」
「再来週の有馬記念もぶち抜きましょう」
オレたちはお互いの足りないところを補い合ういいコンビだったと思う。
そしていつものように淡々と作業し有馬記念もタップダンスシチーを見抜き的中させた。
初の現場取材ということもあって珍しくヤツも雄たけびを上げていた。
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by taku-ma3 | 2007-04-24 10:54 | マネーコード

4

場所を中山から新松戸へ移し話を続けた。
共通の意見として既存の馬券法では”生きているレース”を対象に出来ない、ということがあったがヤツの記憶の中にある膨大な資料はオレとは比べものにならないものだった。
まるで棋士が感想戦をやっているかのように過去のレース、そのレースの仕掛けどころ、各馬がもっていたオッズを話し続けた。しかも一つのレースに関して仕込みがある可能性のあるオッズの馬、6頭前後・・・数にして500頭以上のオッズ、戦績がすべて頭に入っていた。しかもその各馬の厩舎、騎手までだ。
予想以上のイカレっぷりにオレはただただ黙って聞いているほかは無かった。

「で。ですよ」
「・・・」
「この間から始まった3連単、ここにも必ず現れてくるはずだ。と思ったんですよ」
「というと?」
「単複枠馬、馬単3連から見えてきていたもの、絶対3連単にも痕跡を残すはずなんです」
「・・・」
「そのゾーンは130。ここがツボになっている」
というと鞄から先ほどのぺラ紙を取り出した。オッズプリンターだ。見るとマーカーで塗りつぶされたゾーンがある。
130倍台。
「このオッズに存在することがいわゆる”仕込”の可能性を高くさせるんですよ」
「無論全部がそうだとは言いませんが今まで自分がやってきたことの後押しにはなっています」
払い戻しの事実を見ているだけに否定の仕様が無い、というかそれが聞きたかったということもある。
「・・・それでどのくらいいける」
「6割、・・・弱くらいですかね」
オレの頭に昔の師匠に言われたセリフがよぎった。
・・・博打なんか所詮突き詰めれば1/2の丁半博打、だがそれをほんの少し・・・51:49にすることが出来れば。まあそれがあっちの世界とこっちの世界の差なんじゃねえのかな・・・

その日は次の週末の再会を約束し別れた。
「いい話が出来ましたかね」
「さあどうかね、オレに理解できたかもわからないしまあ来週楽しみにしているよ」
そう云って武蔵野線に乗り込んだ。
すさまじい疲労感の中で
”世間サマの腰をブッコ抜いてやる”
ずっとそう考えていた。
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by taku-ma3 | 2007-04-23 23:55 | マネーコード

続く

ヤツはFと名乗った。
「ずいぶん張ってるんだな」
「そうですか?・・・んーまあ仕事ですから」
ヤツはガリガリに痩せていて身長はそこそこ高い、175cm位だろうか。しかし頼りないという風ではなく背筋はしゃんとしておりその眼光は鋭く、立ち居振舞いも毅然としたものだった。
「仕事って云うとそれで・・・博打で喰っているのかい?」
「なんと言ったらいいのか、まあそんなようなものですかね」
「曖昧ないい口はやめにしようぜ、オレはたくさんの人間を見ているがキミからはなんというか普通の人間と違う・・・すさまじく俗世離れしたものを感じるんだが?」
彼は多少微笑みながら
「そうですかね、自分じゃ分かりませんが・・・まあいいでしょう。仕事なんですよこれは本当に。
請負ですよ。自分の能力を買ってくれている人が、なんていうんですかね、まあ道楽でやらせてくれているんですよ。」
「てことはキミはバイニンってことなのかい?」
「言葉はよくわからないんですが・・・自分は預かったお金を”投資”して増やして返す。そんなことをやっています」
オレはなるほどと思った。
「金主は満足していそうだな」
「まあ今のところは」
「永いのかい?」
「どうですかね、あっという間なんで分かりません」
オレの興味はすでにヤツの”能力”に移っていた。
「とはいえなんでそんな大金を賭けれるんだい?しかも毎回毎回。普通のサラリーマンなら一月かかって稼ぐ位の金額だ、人の金とはいえ負けがこんだらあっという間に1000くらいはいっちまうだろう」
野暮ったい質問だと思ったが聞いてみた。
「なにか”確信”出来るものでもあるのかい?」
ヤツも話したくて仕方なかったらしい。そんな問いかけに
「”仕込み”って分かりますか?分かりますよねあなたなら。だからぼくはすんなりタクマさんの誘いに乗ったんです」
仕込み・・・。自分が今までおぼろげながら感じていたこと・・・、一気にド真ん中を射抜いてくれた。
「オレと組まないか」
まるで初恋の女に再び出会い思いのたけをぶつけた、そんな気分でヤツに言った。
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by taku-ma3 | 2007-04-23 00:21 | マネーコード

外伝

ヤツはぺラ紙の束を丁寧に鞄にしまい
「つぎのレースは村田かな」
と言った。そして歩きながら
「向こうは小牧・・・かな多分」と言った。
「買わないのかい?」
ヤツは少し笑みを浮かべながら
「集中がきれちゃいましたから」
「自信があるなら買うべきじゃないか?」
「自信?それは”向こう”に聞いてくださいよ、とにかく今日はここでおしまいですから」
向こう?オレは訳もわからずにヤツの後を歩いた。

腰を落ち着けられる店に着いた時レースが始まり村田は3着、小牧は1着だった。
「買うべきだったな」
「仕方ないですよ、集中が切れていたし。”確認”ということで納得できます、あなたとも話がしたかったし」
確認?そのときのオレには理解の範疇を超えていた。
「ま、パスタでも食べましょうよ、タクマさんはワインですか?」
ヤツの言った馬はすべて1、2人気じゃない・・・そう思いながらオレはいわれるままにワインを注文していた。
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by taku-ma3 | 2007-04-21 00:40 | マネーコード

マネーコード外伝

秋 中山


そいつと始めた遭ったのは中山競馬場、ジャンクフードの店が並ぶパドック前だった。その頃のオレは”単勝コロガシ”でそこそこの稼ぎを出していた。

それまで様々なオッズを通じた馬券購入をやっていたが一番メインに置いていたのがいわゆる単コロだった。はっきりいって簡単だった。やり方は省くが上位人気を中心にしたものでそれなりに収支は上がっていた。たまには帯封を頂け、ネエちゃんのいる店でえらそうな顔をして酒を飲むことが出来る・・・まあその程度だ。

そいつを見たのは今日が3度目。いつものように同じ店で餅を食いながらなにやらぺラ紙を見てはオッズ板を見てはを繰り返している。これもいつものことだ。そして締め切りのベルが鳴るといきなり身体にバネが入ったかのように人ごみを掻き分け馬券を購入していた。安心したような表情で席に戻ると馬券を尻のポケットに無造作に突っ込んだ。オレは無論買い目と金額を確認した。
複勝13 300000円だった。
すでにヤツが馬券をポケットに詰め込んだ時にはレースは始まっていた。13番サイクルシチーは楽な逃げで4角を回りごくごく普通に2着に入った。ヤツはレースすら全く観ておらず確定のアナウンスが流れた時にようやくそのぺラ紙から顔を上げた。その表情はさほど喜びも無くただ一言、”ふう”と溜め息をついたように見えた。


・・・毎度の光景ながらヤツは大口払い戻しから金を受け取り、そして何事も無かったかのようにまたぺラ紙に視線を落とす。
”こいつにはオレと同じニオイがする!”
そう確信したオレは立ち上がりヤツの前に立った。
「よかったらおごらせてくれないか、オレはタクマっていうんだ」
いきなりとは思ったが向こうもこっちの顔は知っているはず・・・なにしろ狭い店でちょっと目立つ奴はすぐに目に付く。
一瞬・・・というか時間にして5秒くらいか・・・ヤツは凍ったような視線でオレを見据えた。騒がしいはずの場外がやたら静かに感じた。オレも視線は外さない。

転瞬、
「いいですよ、酒は飲めませんが。場所を変えましょうか」
この瞬間がすべての始まり、ファーストコンタクトだった。
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by taku-ma3 | 2007-04-20 23:54 | マネーコード

マネーコード外伝

っていうものを書こうかなあと思います。
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by taku-ma3 | 2007-04-20 22:11 | マネーコード

結局進化っていう事で。打つ前に直球か変化球か見抜けないと無理。
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by taku-ma3 | 2007-04-15 16:24